健康の広場

ガン検診について

2017-05-31

 ガンは、日本において昭和56年より死因の第1位となり、現在では年間36万人以上の人が、ガンで亡くなっています。これは3人に1人がガンによって亡くなっていることになります。部位別患者数で見ると、男性では1位が胃癌、2位が前立腺癌、3位が肺癌、4位が大腸癌、5位が肝臓癌であり、女性では1位が乳癌、2位が大腸癌、3位が胃癌、4位が肺癌、5位が子宮癌となっています。一方、部位別死亡者数で見ると、男性では1位が肺癌、2位が胃癌、3位が大腸癌、4位が肝臓癌、5位が膵臓癌となっています。女性では1位が大腸癌、2位が肺癌、3位が胃癌、4位が膵臓癌、5位が乳癌です。

これらの数字から言えることは、男性では前立腺癌の患者さんは多いものの、前立腺癌で亡くなる人は少ない、すなわち前立腺癌はガンの中では、質(タチ)の良いガンと言えます。一方膵臓癌は、罹る人は少ないが、一度膵臓癌になると死亡する割合が高く、質の悪いガンと言えます。女性の場合は、乳癌が質の良いガンと言えそうですが、若年者では数は少ないものの、死亡率は極めて高く、質の悪いガンと言えます。
現在厚生労働省は、死亡者数の多い、かつ早期発見で助かる見込みの高いガンについて、検診を積極的に勧めています。男性は、胃癌、大腸癌、肺癌検診の3つ、女性では胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、子宮癌の5つのガン検診がありますが、いずれの健診も受診率が3~4割程度に留まっています。特に大阪府は全国に比べて、ガン検診の受診率は低く、胃癌、大腸癌、肺癌検診の受診率は全国最下位、乳癌、子宮癌検診の受診率は全国で下から2番目になっています。

堺市では昨年秋より胃ガン検診、肺ガン検診は開業医や診療所でも個別に受けられるようになりました(胃ガン検診は50歳以上の偶数年齢時、肺ガン検診は40歳以上毎年)。胃ガン検診では従来の胃透視に加え、胃カメラも受けられるようになりました。また40歳から49歳の人は、胃癌の危険度健診として、従来当院でも行っているABC検診が受けられるようになりました(1回のみ)。大腸ガン検診は40歳以上なら、いつでも受診出来きます。乳ガン検診は40歳以上、子宮ガン検診は20歳以上の人なら、2年に1回の偶数年齢時に、指定の医療機関で受けられます。堺北診療所では、肺ガン検診、ABC検診、大腸ガン検診が受けられます。ガンは早期発見すれば、助かる見込みの高い病気です。是非、ガン検診を受けましょう。

膀胱炎の話し

2017-05-31

膀胱炎とは、尿道から大腸菌などの細菌が膀胱内に入り込んで、膀胱の粘膜が炎症を起こす病気です。膀胱炎は女性に多い病気で、これは女性の尿道が男性に比べて短く、大腸菌などの細菌が膀胱に入りやすいためです。昔は新婚の女性に多いので、ハネムーン膀胱炎と呼ばれていました。自由恋愛の昨今では、結婚前でも膀胱炎にかかります。
膀胱炎の症状は、①頻尿、②残尿感、③排尿時痛、④下腹部痛、⑤尿の混濁などです。発熱はありませんが、もし38度以上の発熱があり、腰部のだるい感じがするようであれば、細菌が膀胱から尿管を伝って、腎臓まで炎症を起こしているので(腎盂炎と言います)、急いで抗生物質で治療する必要があります。腎盂炎を起こすと、細菌が体中を駆け巡り、敗血症になり生命にかかわることがあるからです。
膀胱炎は、一度かかった人であれば、自分でも診断がつくありふれた病気です。抗生物質を内服することで、症状は数日で軽快します。この時大事なのは、抗生物質の内服を2~3日で止めないことです。症状は改善しても、細菌はまだ完全には死んでいないので、最低5日間はきちんと服用してください。
膀胱炎を繰り返すと、抗生物質に効かない耐性菌が増えてくる場合があります。一般にはニューキノロン系という抗生物質が多く使われていますが、何度も膀胱炎を繰り返す人は尿の細菌培養を行って、いつも使われている抗生物質に耐性が出来ていないか調べてもらってください。また、膀胱炎を繰り返す場合は、尿路系の異常が合併していることもあるので、一度泌尿器科で診察を受けたほうが良いでしょう。
膀胱炎の診断は、先ほどの症状と尿検査で行います。膀胱炎時の尿は、潜血、白血球、細菌が検出されますが、それらの所見が全くないのに、膀胱炎症状を起こすことがあります。原因としては、病院受診前に既に手持ちの抗生物質を服用していた場合があります。また何度も膀胱炎を起こした場合は、神経過敏になっていることが多く、こういう時は猪苓湯、五淋散などの漢方薬が効果を発揮します。しかし、これらの原因以外で難治性の膀胱炎症状を来すものに、間質性膀胱炎があります。原因はまだよくわかっていませんが、この膀胱炎が疑われる時は、私は泌尿器科を紹介しています。
膀胱炎の予防は、①トイレを我慢しないこと、②水分をたくさん摂るようにすることです。女性の場合は陰部の清潔に心がけ、特に性交渉の前後は陰部をきれいに洗い流し、性交渉後は尿道口に付着した大腸菌が膀胱内に入るのを防ぐため、排尿するように心がけて下さい。

こむら返りの話し

2017-01-20

 こむら返りとは、筋肉が急に収縮して、激しい痛みを伴う症状のことです。多くは下肢の「ふくらはぎ」に起こります。夏と冬に多いのが特徴で、多くは夜中から明け方に起こります。
 こむら返りが起こる原因としては、①ミネラル不足、②水分不足、③運動不足などが言われています。夏場には、夜中に汗をかいて、明け方になると体の水分や塩分が不足した状態になるため、起こりやすくなります。一方冬場にこむら返りが多い原因としては、寒さと運動不足で筋肉の血液循環が悪くなるためと考えられています。
 こむら返りが起こったときには、ふくらはぎを伸展するようにします。例えば、布団の中でつま先を伸ばすように背伸びすると、ふくらはぎの筋肉が縮むため、こむら返りが起こり易くなります。こむら返りが起きそうになったら、踵を突き出して、つま先を立てるようにすれば、ふくらはぎの筋肉が伸びるため、こむら返りは起きないようになります。
 こむら返りの予防としては、夏場は塩分と水分を就寝前に補給して、明け方の脱水状態を引き起こさないようにします。お茶は利尿作用があるので、夜間に排尿して脱水が悪化する可能性があるので、スポーツドリンクがお勧めです。冬場は、ふくらはぎの筋肉の血液循環が悪くなっているので、就寝前に入浴してふくらはぎをマッサージすると良いでしょう。就寝前の水分補給として、お勧めは暖かいミルクです。牛乳にはカルシウムが多く含まれており、こむら返りの原因となるミネラル補給に有効です。また暖かい牛乳を飲むと体が温まり、ぐっすり眠れると言われています。
 それでもこむら返りが起こるときは、漢方薬の芍薬甘草湯がお勧めです。芍薬甘草湯は、こむら返りが起こったときに服用すれば、直ちに効果が現れます。また就寝前に服用すると、明け方のこむら返りが予防できます。芍薬甘草湯は、薬局でも売っていますが、多量に服用すると、カリウムが低下して脱力を来たしたり、不整脈を誘発することがあります。また血圧が上昇することもあるので、医師の診察を受けてから処方してもらうようにしましょう。

むくみの話し

2017-01-20

 むくみ(浮腫)は女性や高齢者によく見られる症状です。ある患者さんは「先生、私の足がむくんでいるんですが、むくみは死ぬ兆候だと言われたんですが」とか、ヘルパーさんが利用者さんに対して「足がむくんでいますね。これは大変だから、先生に早く診てもらったほうが良いですよ」とか言った事が、よくあります。
 むくみは血液中の血漿成分が毛細血管から滲み出てきて、細胞の周りに集まった状態です。血液を採取して試験管に入れて立てておくと、しばらくして赤血球などの血球成分は下に沈み、上の方にタンパク質を含んだ透明な成分が残ります。この透明な成分が血漿です。心臓から押し出された血液は、体の隅々にまで枝分かれした動脈を通り、毛細血管に至ります。毛細血管の壁は一層の内皮細胞で出来ているため、血漿成分は容易にこの隙間を通り抜けて細胞の間に滲み出ます。この時に色々な栄養分も滲み出て、細胞に栄養を与えています。そして細胞から不要になった成分は再び毛細血管の中に血漿とともに吸収され、静脈を通って心臓に帰ります。毛細血管から滲み出た血漿成分の一部は、体中を走っているリンパ管も通って、最終的に心臓に帰ります。滲み出る血漿成分と、吸収される血漿成分は、健康体であればバランスが取れているため、通常むくみは生じません。
 むくみが生じる原因としては、①血管内圧が高くなったとき(心不全・静脈血栓・静脈瘤など)、②血漿内のタンパク質が少なくなったとき(腎不全・肝不全)、③リンパ管の障害(リンパ浮腫)、④血管の透過性が高まった状態の4つがあります。
 むくみが高齢者に多いのは、4番目の毛細血管の透過性が高まった場合が多く、塩分の摂り過ぎもむくみを増強させます。心臓や肝臓、腎臓などに問題がない高齢者が、ただむくみを取るためだけに利尿薬を服用すると、脱水状態となり、血液が濃縮し、脳梗塞を起こす危険があります。女性は血管の周りに脂肪が多いため、男性よりもむくみやすくなっています。そして女性のむくみの多くは、夕方に出現します。これは、日中起きて生活しているために水分が上半身から下半身に移動するためです。
 むくみの原因は様々ですが、多くは慌てて治療する必要のないものです。むくみを取るために安易に利尿薬を服用するのは、体液のバランスを崩し、脳梗塞を起こすこともあるので、注意が必要です。

頭痛の話

2016-09-02

頭痛に悩む日本人は15歳以上の3人に1人、およそ3000万人いると言われています。私も寝不足の時や、アルコールを飲みすぎた翌日に、頭がズキンズキンと痛む事があります。外来でも頭痛を訴えて受診する方は多く、皆さん「頭の中に何か出来ていないか」と心配されて、CTスキャンやMRI検査を希望されます。

頭痛には検査で異常の見つからない一次性頭痛(機能性頭痛)と、検査で異常の見つかる二次性頭痛(器質性頭痛)があります。ほとんどの頭痛は一次性頭痛なので、頭が痛いと言って、直ちに恐れることはありません。

一次性頭痛には、筋緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛などがあります。筋緊張型頭痛は首の後ろから後頭部にかけて締め付けるような痛みで、入浴で首筋を温めたり、少量のアルコールを飲むと症状が和らぎます。この頭痛は体と心のストレスにより首から後頭部の筋肉に行く血管が収縮し、これらの筋肉が緊張するために起こります。軽いめまいを伴うことも多く、肩こりと関連の強い頭痛です。

片頭痛は「ズキン、ズキン」と、波打つような痛みで、頭痛が起こる前にチカチカした光が見えることがあります。体を動かすとガンガンと頭に響き、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。この頭痛は女性に多く、ストレスや疲労により、頭の血管が拡張するために起こります。この頭痛は、コメカミの部位を押さえたり、冷やしたりすることで症状が和らぎます。

群発頭痛は目の奥がえぐり取られるような痛みで、痛む方の目が充血し、涙がボロボロ出ます。この頭痛は、目の後ろを走っている内頚動脈が拡張して炎症が起きるためと言われています。一次性頭痛の中でも頻度は少ないものの、痛みが最も強く、特別な薬でないと対処できません。群発頭痛は一般のクリニックでは対応がむつかしいので、専門医の受診をお勧めします。

検査で異常の見つかる二次性頭痛には、クモ膜下出血、髄膜炎、脳出血、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍などの他、目の病気として緑内障発作や、耳鼻科の病気として急性副鼻腔炎などがあります。これらの頭痛は、生命に関わるものが多く、原因に応じた対処が必要とされますので、頭が痛い時は安易に売薬で済ませず、まずは医療機関を受診して下さい。

痛風の話

2016-09-02

痛風とは血液中の尿酸値が上昇し、尿酸の結晶が関節の中に固まって、炎症を起こす病気です。「風が吹いても痛む」という意味で「痛風」と言います。痛風の起こりやすい関節は、足の親指の付け根が最も多いのですが、それ以外にも心臓から離れた、温度が低く、運動量の多い関節に起こりやすいのが特徴です。

尿酸値が高くなると、腎臓に結石も出来やすくなり、腎臓の働きも落ちて、やがて人工透析が必要になることもあります。血液中の尿酸値は100ミリリットルあたり7mg以下が正常範囲ですが、9mgを越すと痛風発作が起こりやすくなります。痛風は、過食でアルコール摂取の多い男性に多いのが特徴です。

体の中には約1グラムの尿酸が蓄えられていますが、600mgが毎日入れ替わっています。尿酸の8割は、自分の体の細胞を原料として、肝臓で作られます。ヒトの細胞は毎日古い細胞が壊されて、新しい細胞に入れ替わっています。古い細胞が壊された時に、細胞に含まれる核酸も分解されるため、その時に核酸の成分のプリン体も血液中に出てきます。そして、このプリン体が肝臓に取り込まれて尿酸が作られます。残りの2割の尿酸は食品由来のプリン体から肝臓で合成されます。これら肝臓で作られた尿酸は2割が便中に、8割が尿中に排泄されます。

血中尿酸値が高くなるのは、尿酸が過剰に作られるか、腎臓から排泄される尿酸が減るかのいずれかです。しかし痛風発作を起こすほどの高い尿酸値になるのは、腎臓で尿酸の排泄が減るのが大きな原因です。痛風といえば食品のプリン体が原因とよく言われますが、プリン体の多い食品は干物やレバーなどで、干物では100gあたり700mg、鳥レバーでは300mgのプリン体が含まれています。アルコールに含まれるプリン体は実は少なく、焼酎は0mg、日本酒は1合で1.8mg、ビールでも350mlで17.5mgしか含まれていません。しかしアルコールはそれ自体が、腎臓での尿酸の排泄を抑えるので結果的に尿酸値は上昇します。

痛風発作を予防するには、腎臓で排泄される尿酸を増やすために水をたくさん飲むことです。尿酸の高い人は、1日2リットルは飲みましょう。また尿が酸性よりもアルカリ性の方が尿酸は排泄されやすいので、尿をアルカリ性にする野菜や海藻、果物を多く摂るようにしましょう。

(前回の町衆の記事で、在宅酸素療法の適応が「酸素分圧55mmHg以上とあるのは、55mgHg以下」の間違いです。謹んで訂正いたします)

肺気腫と在宅酸素療法

2016-05-19

 街中や病院で、キャリーケースやショルダーバッグに入れた酸素ボンベから細いチューブを鼻まで伸ばして呼吸している方を見かけたことはありませんか?昔、俳優の植木等さんが生前、友人の葬儀の時にこの携帯用酸素ボンベを肩にかけて、焼香している姿をテレビで見たことがあります。植木さんは肺気腫という病気でした。

 肺気腫とは、肺を形作っている肺胞という組織が、徐々に壊れて行く病気です。原因のほとんどはタバコです。肺胞は吸気時に肺に入った酸素を血液の中に取り込み、体で作られた二酸化炭素を血液から取り出して、呼気として肺の外に出すところです。肺は小さな肺胞の集まりで、およそ3億個の肺胞で出来ています。

 肺気腫はタバコを吸い始めて数十年後に発症してくる病気ですが、肺胞は毎年少しずつ壊れて行ってます。最初は健常な肺胞が、壊れた肺胞のカバーをしているので、本人は病気に気付いていません。しかしそのうちに咳、痰の量が多くなって、風邪に罹りやすくなります。また速足で歩いたり、階段の昇降などで息苦しさを自覚するようになります。タバコを吸い始めて数十年が過ぎ、ある程度以上の肺胞が壊れてしまうと、安静にしていても息苦しくなり、常時酸素吸入が必要になってきます。

息苦しさは血液中の酸素濃度(酸素分圧といいます)と比例するので、息苦しさを客観的に調べるためには、血液中の酸素濃度を測る必要があります。ところが血液中の酸素濃度を調べるには、動脈血を採取しなければなりません。動脈に注射針を刺すということは、患者さんに負担をかけることになり、また測定も特殊な機械を必要とします。そこで40年ほど前に、指先の動脈に光を当てて、血液中のヘモグロビンという色素の透過度を測定することで、血液中の酸素の量(酸素飽和度)を測定する機械が開発されました。酸素飽和度は健康な人では96%以上ですが、肺気腫のような肺の悪い人では95%以下となります。また安静時では96%以上でも、階段昇降などの運動時には90%以下に低下します。安静時でも息苦しい人は酸素飽和度が90%未満になっており、酸素療法の適応となります。

 日常の生活で酸素が必要な方は、自宅に酸素ボンベを設置することが出来ます。酸素ボンベには液体酸素と酸素濃縮器の2種類があります。酸素濃縮器は空気中の酸素を濃縮する機械で、液体酸素機比べ使用法が簡便ですが、電気代がかかるのが欠点です。外出時には携帯用の酸素ボンベがありますが、34時間しか持ちません。最近は吸気時のみ酸素が流れる同調式が出来てきたので、こちらは56時間程度持ちます(吸入の酸素量によって異なります)。将来酸素療法が必要な生活を避けるためには、まずは禁煙です。

帯状疱疹(ヘルペス)の話し

2016-02-17

 年を取ってくると、神経痛に悩む方も多いと思います。何の前触れもなく、突然神経痛が出てきたときは注意が必要です。それは帯状疱疹(ヘルペス)かも知れません。

 帯状疱疹は水疱瘡(水痘)のウイルスによって起こる病気です。水疱瘡は子供の時に起こる病気ですが、全身に水疱が出来て1週間ぐらいで「かさぶた」になって治ります。実はこの時のウイルスは完全に死滅しておらず、三叉神経や脊髄神経の根元(神経節)に潜伏しています。そして高齢になって体の抵抗力がなくなって来た時に、突然神経節に沿った部位の皮膚に水疱を来たします。三叉神経に沿って発症すると、顔の片側で、目や耳の周囲に水疱が出来ます。脊髄神経に沿って発症すると、肩や腕、胸や背中、下肢にも水疱が出来ます。この時、特徴的なのは原則として体の片側だけに発症するということです(非常に重症の場合は、水疱は対側にも広がります)。

 帯状疱疹は神経に沿って発症するため、最初はピリピリとした神経痛と間違われます。そして数日経って水疱が出現して、初めて帯状疱疹だったと分かります。水疱の程度は個人差があり、狭い範囲で痛みも軽くパラパラと散在する程度のものもあれば、広い範囲で痛みも強く、水疱が癒合して、治った後も強い色素沈着を残すことがあります。また水疱が消えたあとも、頑固な神経痛が続くことがあります(帯状疱疹後神経痛)。

 治療法はなるべく早くに抗ウイルス薬を服用することです。これにより、神経痛の発症を抑えることが出来ます。抗がん剤治療を受けている人や、膠原病などで免疫抑制剤を服用中の人は重症になりやすいので、入院して点滴治療が必要になる場合があります。また水疱の部位は抗ウイルス薬の軟膏を塗布し、細菌感染を来たした場合は抗生物質の軟膏塗布が必要になることもあります。

 帯状疱疹は一度罹ると、膠原病やガンなどの基礎疾患がない限り、再発はほとんどありません。早期の治療が皮膚病変と疼痛の軽減に有効なので、ピリピリ痛む水疱が出来たらなるべく早く病院を受診して下さい。帯状疱疹を予防するためには、疲れを残さない規則正しい生活も重要です。

風邪と漢方薬

2016-02-17

 冬本番となり、風邪が流行っています。風邪はウイルスが原因で起こる呼吸器感染症です。鼻水、ノドの痛みから始まり、発熱することもあります。その後、咳症状が出現し、咳は数週間続くこともあります。腹痛や下痢など、消化器症状を来す風邪もあります。

 風邪に対する特効薬はありませんが、私は5年ほど前から漢方薬を多く処方するようになりました。漢方薬はウイルスを殺す作用はありませんが、人間の免疫系に働いて、自分が本来持っている病気からの回復力を高める作用があると考えられています。

 例えば、38度以上の高熱がいきなり出るような風邪は若い人に多いのですが、こういった患者さんには麻黄湯(マオウトウ)を処方します。麻黄湯はインフルエンザにも効果があり、通常の解熱薬よりも速く熱を下げます。但し麻黄湯は、普段元気な人には有効ですが、高齢の方には少し強い薬なので、高齢者には麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)を用います。附子はトリカブトの根から作られたもので、体を温める効果があります。高齢者は風邪を引いても熱が上がらないことも多いので、わざと体を温めて汗をかかせて熱を下げるようにします。トリカブトは毒草として有名ですが、漢方薬に用いるトリカブトの根はもちろん毒はありません。

 漢方の風邪薬で有名なものに葛根湯(カッコントウ)がありますが、葛根湯は熱が出てしまうと効果がありません。なんとなく風邪気味だなと思った時に服用すると効果があるので、常備薬として置いておくのが良いでしょう。今は街の薬局で売っています。

 喉の痛みには桔梗石膏(キキョウセッコウ)がお勧めです。石膏は冷やす効果が有り、喉の炎症を抑えます。喉の痛みが数日も続く時は小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)があります。小柴胡湯は慢性の炎症を抑える働きがあります。鼻水には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)を用います。小青竜湯はアレルギー性鼻炎(花粉症)にも有効です。

 風邪の後期は咳症状が主体となるので、咳が続くときは柴朴湯(サイボクトウ)や麦門冬湯(バクモントウトウ)が有効です。高齢者で体力が衰えた方は補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も有効です。

 このように漢方薬には風邪の症状と病期によって様々の種類があり、また西洋薬と違って眠くなる成分も入っていないので、受験生や車を運転する人には特にお勧めです。

めまいの話し

2015-09-16

  めまいとは体のバランスを保つ機能に障害が起こって生じる症状です。日本では、およそ240万人の人がめまいに悩んでいると言われています。めまいの症状は、①グルグル(回転性)、②フラフラ(浮動性)、③目の前が暗くなる(失神性)の3つに分けられ、それぞれ原因が異なります。

  グルグルするめまいは、耳や脳に原因が多く、このうち最も多いのは頭位変換性めまいです。これは耳の奥に前庭という、体の回転と傾きを感知する部位があるのですが、頭を急に動かすことで、その中にある小さな石(耳石)が、ずれたり、剥がれ落ちたりして、めまいが生じます。めまいの8割が、この頭位変換性めまいで、通常30秒以内におさまります。次に多いのがメニエール病で、これはやはり耳の奥にある体の平衡機能を保つ蝸牛と言われる部位の中に流れるリンパ液が過剰になって生じます。耳鳴りや耳閉感を伴い、治まるまでに数時間を要します。入院が必要になることが多いめまいです。それ以外には前庭神経炎、聴神経腫瘍、小脳の病気などがあります。

 フラフラするめまいは、貧血、脱水、低血圧、高血圧、自律神経障害、脳梗塞、脳出血、椎骨脳底動脈循環不全など、様々な原因があります。とくにフラフラする症状とともに、ものが二重に見える、顔や手足がしびれる、手が震える、力が入らないなどの症状がある場合は、脳血管障害の可能性があるので、病院の救急外来を受診してください。

 目の前が暗くなる失神型のめまいは、血圧が下がったり、脈が乱れたりして、脳が虚血状態になるために生じます。夏場では、熱中症で体の水分が極端に失われたとき(高度脱水状態)に生じます。糖尿病の薬を飲んでいる人では、重症な低血糖になった時にも起こります。また不整脈や、睡眠薬の副作用でもめまいが起こることがあります。高齢になると平衡感覚は若い頃より衰えており、血圧を調節する力も衰えています。また血圧を下げる薬や糖尿病の薬、睡眠薬も常用している方が多く、めまいを訴える人が多くおられます。

 めまいを予防するには、急に頭を動かしたり、傾けたりしないようにすることです。また、頸部のマッサージは避けるようにしましょう。規則正しい生活を心がけ、ストレスをためず、睡眠を充分取るようにしましょう。薬をたくさん飲まなくても済むように、若いうちから生活習慣病の予防に心がけましょう。

« 古い記事 
Copyright© 2015 堺医療生活協同組合 All Rights Reserved.Produced by ©UmedaPrinting.