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風邪と漢方薬

2016-02-17

 冬本番となり、風邪が流行っています。風邪はウイルスが原因で起こる呼吸器感染症です。鼻水、ノドの痛みから始まり、発熱することもあります。その後、咳症状が出現し、咳は数週間続くこともあります。腹痛や下痢など、消化器症状を来す風邪もあります。

 風邪に対する特効薬はありませんが、私は5年ほど前から漢方薬を多く処方するようになりました。漢方薬はウイルスを殺す作用はありませんが、人間の免疫系に働いて、自分が本来持っている病気からの回復力を高める作用があると考えられています。

 例えば、38度以上の高熱がいきなり出るような風邪は若い人に多いのですが、こういった患者さんには麻黄湯(マオウトウ)を処方します。麻黄湯はインフルエンザにも効果があり、通常の解熱薬よりも速く熱を下げます。但し麻黄湯は、普段元気な人には有効ですが、高齢の方には少し強い薬なので、高齢者には麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)を用います。附子はトリカブトの根から作られたもので、体を温める効果があります。高齢者は風邪を引いても熱が上がらないことも多いので、わざと体を温めて汗をかかせて熱を下げるようにします。トリカブトは毒草として有名ですが、漢方薬に用いるトリカブトの根はもちろん毒はありません。

 漢方の風邪薬で有名なものに葛根湯(カッコントウ)がありますが、葛根湯は熱が出てしまうと効果がありません。なんとなく風邪気味だなと思った時に服用すると効果があるので、常備薬として置いておくのが良いでしょう。今は街の薬局で売っています。

 喉の痛みには桔梗石膏(キキョウセッコウ)がお勧めです。石膏は冷やす効果が有り、喉の炎症を抑えます。喉の痛みが数日も続く時は小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)があります。小柴胡湯は慢性の炎症を抑える働きがあります。鼻水には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)を用います。小青竜湯はアレルギー性鼻炎(花粉症)にも有効です。

 風邪の後期は咳症状が主体となるので、咳が続くときは柴朴湯(サイボクトウ)や麦門冬湯(バクモントウトウ)が有効です。高齢者で体力が衰えた方は補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も有効です。

 このように漢方薬には風邪の症状と病期によって様々の種類があり、また西洋薬と違って眠くなる成分も入っていないので、受験生や車を運転する人には特にお勧めです。

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