肺気腫と在宅酸素療法

2016-05-19

 街中や病院で、キャリーケースやショルダーバッグに入れた酸素ボンベから細いチューブを鼻まで伸ばして呼吸している方を見かけたことはありませんか?昔、俳優の植木等さんが生前、友人の葬儀の時にこの携帯用酸素ボンベを肩にかけて、焼香している姿をテレビで見たことがあります。植木さんは肺気腫という病気でした。

 肺気腫とは、肺を形作っている肺胞という組織が、徐々に壊れて行く病気です。原因のほとんどはタバコです。肺胞は吸気時に肺に入った酸素を血液の中に取り込み、体で作られた二酸化炭素を血液から取り出して、呼気として肺の外に出すところです。肺は小さな肺胞の集まりで、およそ3億個の肺胞で出来ています。

 肺気腫はタバコを吸い始めて数十年後に発症してくる病気ですが、肺胞は毎年少しずつ壊れて行ってます。最初は健常な肺胞が、壊れた肺胞のカバーをしているので、本人は病気に気付いていません。しかしそのうちに咳、痰の量が多くなって、風邪に罹りやすくなります。また速足で歩いたり、階段の昇降などで息苦しさを自覚するようになります。タバコを吸い始めて数十年が過ぎ、ある程度以上の肺胞が壊れてしまうと、安静にしていても息苦しくなり、常時酸素吸入が必要になってきます。

息苦しさは血液中の酸素濃度(酸素分圧といいます)と比例するので、息苦しさを客観的に調べるためには、血液中の酸素濃度を測る必要があります。ところが血液中の酸素濃度を調べるには、動脈血を採取しなければなりません。動脈に注射針を刺すということは、患者さんに負担をかけることになり、また測定も特殊な機械を必要とします。そこで40年ほど前に、指先の動脈に光を当てて、血液中のヘモグロビンという色素の透過度を測定することで、血液中の酸素の量(酸素飽和度)を測定する機械が開発されました。酸素飽和度は健康な人では96%以上ですが、肺気腫のような肺の悪い人では95%以下となります。また安静時では96%以上でも、階段昇降などの運動時には90%以下に低下します。安静時でも息苦しい人は酸素飽和度が90%未満になっており、酸素療法の適応となります。

 日常の生活で酸素が必要な方は、自宅に酸素ボンベを設置することが出来ます。酸素ボンベには液体酸素と酸素濃縮器の2種類があります。酸素濃縮器は空気中の酸素を濃縮する機械で、液体酸素機比べ使用法が簡便ですが、電気代がかかるのが欠点です。外出時には携帯用の酸素ボンベがありますが、34時間しか持ちません。最近は吸気時のみ酸素が流れる同調式が出来てきたので、こちらは56時間程度持ちます(吸入の酸素量によって異なります)。将来酸素療法が必要な生活を避けるためには、まずは禁煙です。

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