苦しくない胃ガン健診

2013-09-02

毎年日本人のおよそ5万人が、胃ガンで亡くなっています。胃ガンはピロリ菌に侵された慢性胃炎(萎縮性胃炎)から発症することが明らかになってきました。そこでピロリ菌を除去すれば、胃ガンの発症は抑えることが出来ると考えられるため、今年の2月からピロリ菌の除菌療法が健康保険を使って行えるようになりました。

ピロリ菌は胃の中に寄生する細菌で、胃酸の分泌の少ない乳幼児期に飲み水などから感染します。ピロリ菌の保有率は年齢とともに上昇し、日本人の60歳以上では8割以上の人が保有していると言われています。一方20歳以下では2割以下と保有率は低いので、若い人がピロリ菌の検査を受け、ピロリ菌を持っていなければ、その人は将来胃ガンになる確率は非常に少ないと言えます。

胃の粘膜がピロリ菌によって荒廃し、萎縮してくると、胃粘膜から分泌される消化酵素も減ってきます。その一つがペプシノーゲンで、萎縮性胃炎になると、その値は減ってきます。すなわちペプシノーゲンの値が低いほど、胃ガンになりやすいということです。

東京大学のグループは血液検査でピロリ菌の有無と、ペプシノーゲンの値を調べることで、将来胃ガンになり易いかどうかを調べる健診を考案しました(ABC健診と呼ばれています)。すなわち、A.ピロリ菌が無くて、ペプシノーゲン値が正常であれば、胃ガンを発症する危険性は非常に少ない。B.ピロリ菌を有して、ペプシノーゲン値が正常値であれば除菌療法がお勧め。除菌に成功すれば、胃ガンになる確率は非常に少なくなる。C.ピロリ菌を有して、ペプシノーゲン値が低ければ、胃粘膜は萎縮が進行しており、除菌療法で成功しても、胃ガンになる確率は高い。D.ピロリ菌が無く、ペプシノーゲン値も低ければ、胃粘膜はピロリ菌も棲めないほど荒廃しているので、胃ガンを発症する確率がかなり高い。

ピロリ菌を持っている人が全員将来胃ガンを発症するわけではありません。胃の粘膜がピロリ菌に侵され、萎縮性胃炎を来たした人に多く発症します。胃ガンの年間発症率は、B群が0.1%、C群が0.2%、D群が1.25%と言われていますので、C群D群に該当する人は、毎年胃カメラ検査をしたほうが良いでしょう。当院でも今年からこのABC健診を導入します。日曜健診などの際、希望者する方は申し込んでください。(2013/5/29)

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