再生医療について

2014-05-09

理化学研究所の小保方晴子さんが発見したとされる「STAP細胞」の論文に瑕疵があり、世間が大きく揺れています。ノーベル賞を受賞した山中先生のi-PS細胞に勝るとも劣らない万能細胞を発見したとして、当初は日本中が沸き上がりました。しかしその後論文に掲載されたデーターが捏造ではないかとの疑いが起こり、小保方さんの名声は地に落ちた状態となっています。小保方さんの釈明の記者会見を見ていると、自分自身昔に博士論文を書いた時の苦労を思い出し、非常に複雑な気持ちになりました。「本当にSTAP細胞はあるのですか?」との問いに、間髪を入れず「STAP細胞はあります!」と高らかに答えた姿に嘘はないと信じたいと思います。
ところで、i-PS細胞や「STAP細胞」が何故大きな発見なのでしょうか?これらの細胞は人間の全ての臓器を作る元となる万能細胞だからです。卵細胞に精子が入ると(受精すると)、一つの卵細胞は2個、4個、8個、16個と分裂を繰り返して、最終的に60兆個の個体に成長します。この細胞が分裂する過程で、遺伝子の情報により、ある細胞は神経に、ある細胞は消化管に、ある細胞は心臓に、ある細胞は皮膚にと体の様々の組織に分化して行きます。従って、これらの過程からある一つの組織を作る細胞を選んで分化するように出来るようにする技術が再生医療と呼ばれるものです。
万能細胞は当初受精卵を用いていました(ES細胞と呼ばれています)。しかし受精卵を用いることは倫理上問題があるため、この研究には制限がかかりました。そこで、受精卵以外の細胞から万能細胞を作る技術の研究が世界中でなされ、その結果京都大学の山中先生がネズミの線維芽細胞を用いて、ある種のウイルスで遺伝子を操作して万能細胞を作ることに成功しました。「STAP細胞」はネズミのリンパ球を弱酸性の溶液につけて万能細胞を作ることが出来たという事で注目を集めたわけですが、未だ誰も再現実験には成功しておらず、その真偽は今後解明されていくでしょう。
再生医療は今の医療では治すことの出来ない難病患者さんに多くの福音をもたらすとして期待されています。特に一旦分化してしまうと、再生しないとされている神経の病気や、網膜の病気、心臓移植の必要な心筋症など、様々な分野で応用可能ですが、実際に広く使われるようになるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

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